課長、ちゃんとしてください。
分厚い書類をめくる課長の横顔を眺めながら、あたしは訊ねる。






「………課長って、もしかして、いつも一番最後に帰ってるんですか?」






思いがけない質問だったのか、課長は「へ?」と首を傾げた。







「ん〜、そーだね〜。

ほら俺、いちおうカチョーだからね〜。

部下が帰るのは見届けなきゃね〜、って」






でも、前の課長は、違った。




あたしたちが残業していても、いつも適当なところで、そそくさと退社していった。





別に、いたところで頼りになるわけでもなかったから、誰も気にしてなかったけど。







「………ちょっと見直しました」







あたしは正直に思いを言葉にした。





課長は「えー、なんでー?」と不思議そうにしてたけど。







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