課長、ちゃんとしてください。
「終わったよ〜。

お待たせあべちゃーん」





「いえ………」






深夜11時にはおよそ相応しくない、にこやかで晴れやかな笑顔を浮かべている課長と並んで、会社を出る。







「あべちゃんはー、一人暮らしだったっけ〜?」






「はい。大学の時から下宿です」






「そっかそっかぁ〜なるほど〜」







なにがなるほどなんだか分からないけど、課長は感心したように何度も頷いている。







「N駅つかってるー?」





「あ、はい」





「んじゃー俺と一緒だねーぇ。良かった、良かった〜」







課長は鼻歌まじりに、駅に向かう道を歩いていく。





長身で足も長い課長だけど、ゆったりとした速度で歩くので、あたしも無理をせずについて行けた。







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