課長、ちゃんとしてください。
あたしは何も答えなかった。





でも課長には、真実が分かっているようだった。







「しかもね〜、俺のお仕事まで進んで引き受けちゃうしね〜。


俺としては助かったけどさ〜、あべちゃんは優しすぎるしねー、頑張り屋さんすぎるな〜」






「……そんなこと、ありません」







課長は、あたしを買いかぶっている。






課長は「そーかなー? 違わないと思うけど〜」と独り言のように言いながら、駅の構内に入っていった。






帰る方向が違っていたので、改札で別れることになる。





課長はあたしの家まで送ると言ってくれたけど、さすがに申し訳ないし、終電もなくなりそうなので、丁重にお断りした。







「じゃあね〜、あべちゃーん。

気をつけて帰るんだよー、また明日〜♪」







ぺこりと会釈をしつつ、あたしは、「また明日」なんて何年ぶりに言われたかな、なんて考えていた。







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