kiss of lilyー先生との甘い関係ー

コーヒービーカー

「どうぞ」

「お邪魔します」

 水樹先生が研究室のドアを開けてくれたとき、正面のコーヒーメーカーにまっさきに目が止まって駆けて行った。

「すごい…」

 立派な装置だった。手作りっていうからもっとチープなのを想像したんだけど、売り物みたいに美しかった。マスターのとこにあるのコーヒーメーカーに似ているけど、ちょっとパーツが違うような。

「綺麗…」

「正しくはコーヒーサイフォンという、気圧の差を湯を移動する仕組みをもった道具のレプリカなんだ」

 水樹先生は後からゆっくりやってきた。

「コーヒーサイフォン…でもこれって、科学の実験室でみたことある器具ばかりにみえるんですけど…」

 先生は肯定して説明してくれた。

「いちばん下からアルコールランプ、枝付きフラスコ、足管、ロートのついた標本ビン。全体を支えているのが架台でその隣りにあるのがコニカルビーカー。フラスコと標本ビンには手を加えてある」

 どうやって動くのかを聞いたら、饒舌な口調で説明してくれた。
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