kiss of lilyー先生との甘い関係ー
 階段を上って外に出ると、気候は生暖かかった。日中は暑かったけど、さすがにこの時間になると落ち着くわね。

「ごちそうさまでした」

 先生にお礼を言った。あの後も散々食べて、散々話した。

 水樹先生も結構な映画好きで、映画史上のキャラクターで一番好きなのは?とか、一日だけ入れ替われるなら誰がいい?とか、くだらないことばっかり話してた。なのに無性に楽しくて、名残惜しいくらい。

 腕時計を見ながら次の行き先を迷っている先生も、そう思ってくれているかしら。

「もう一杯飲みにいくか、そろそろ22時を回るからどこかで酔いを醒ますか」

「あ、」

 ここなら、あそこが近い。彼女に先生を紹介するのはちょっと不安だけど。

「どこか浮かんだか?」

「酔いを醒ますなら…夜の喫茶店にでも、行ってみます?」
< 65 / 113 >

この作品をシェア

pagetop