kiss of lilyー先生との甘い関係ー
「ん? なに?」

 先生が黙ってわたしを見ている。

「…だけどきみは、僕にとってダイヤモンドみたいに大事な人だ」

 わたしは飲んでいた白桃梅酒を吹き出しそうになった。吹き出さなかったけどむせた。先生はどうやら自分の発言でわたしが気を悪くしたか心配になったらしい。

「いや、ダイヤよりもっと生活必需品に例えたほうがいいかもしれない…水とか、塩とか」

 塩と聞いてずるりと肩が落ちた。ダイヤは嬉しかったし、水までも悪くなかったんだけど。ただ、彼の言いたいことはわかる。わたしを口説いたり誉めりしたいわけじゃなくて、自分にとって大事なものだって伝えたいのだろう。

 その真意がわかるから平気だけど、もし彼がダイヤも水も思い浮かばず、先に塩の例えを出していたら…過去の女の子たちから理解されなかったのが想像に容易い。


・・・
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