kiss of lilyー先生との甘い関係ー
 ドアを開けるとそこはシルバーの世界。

 二つ並ぶきれいに磨かれた洗面台の上には大きな長方形の鏡がある。収納棚の木の種類は寝室より深い色のウォルナット。

 奥にガラス張りのシャワールームがあり、同じくガラスで出来た扉の先に浴室があった。

 ガラス扉を抜けるとピカピカの洗い場と角がない楕円形のバスタブがあって、そこには誠が言っていた通りお湯が溜まっていた。

「…」

 バスルームだけでわたしの部屋くらいの広さがある…この家は一体どうなっているの。

 彼が帰ってきたら、今度こそ忘れずに聞こう。

 わたしはここの装飾に驚いたけれど、鏡に映った自分自身にも驚いた。確認のために、洗面台に手をついて鏡に近づいた。

 幼稚園児みたいなぷるぷるの肌をしている…

 きのうの朝まであんなにクマがひどくて、乾燥と肌荒れに悩まされていたのに。心なしか髪の毛だってつやつやしている。

 この原因は、充分に補給した睡眠によってではないだろう。

 わたしはホルモンの偉大さを思い知って、あったかい湯船に浸かりにいった。
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