kiss of lilyー先生との甘い関係ー
「そう、知的財産の特許権による収入。開発したソフトを企業が使うたびに、何パーセントかの使用料が僕に入る」

「え、それってこの間完成させた”リリー”とか?」

「あれもゆくゆくはそうなるだろうな」

 彼はそういった収入で生計を立てていたのか。

「今までどういうもの技術提供をしてきたの?」

「どういうものか…一般に使われているものは少ないな」

 確かに専門的なものが多そうだ。

「あぁ、ひとつ、観光地やテーマパークで外国人観光客の案内に使われているものがある」

「ガイドが解説する日本語を、素早く英語や中国などの設定した言語に訳してくれるものだ。イヤホン越しに同時通訳が起こるから、日本語がわからない外国人でもツアーに遅れずについて行かれる」

「すごい…」

 イギリスの高校生が自作アプリをYahoo!に2000万ポンド、約29億円で売却したという記事を読んだことがある。そのときはすごい子もいるのねという他人事だったけれど…わたしの目の前に座る人もその類だったとは。
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