先生、近づいても、いいですか。
自分でも不自然な言い方だな、と思った。




でも春川は、何も言わず、






「そうですか………。


すみません、差し出がましいことを言ってしまって………」






と丁寧に頭を下げてきた。





俺は思わず、ぷっと噴き出してしまう。




春川が不思議そうに首を傾げた。






「………なにか、おかしかったですか」






「いや………差し出がましい、なんて口に出す高校生、初めてだったから。


女子高生が使う言葉じゃないだろ」






「そうでしょうか……変でした?」






春川は大きな瞳を見開いて俺を見上げている。




俺は思わず春川の頭を撫でた。






「いや………変じゃないよ。


そんな言葉づかいできるなんて、すごいなと思って。


えらいよ、春川は」






微笑んで言うと、春川は困ったように顔を俯けた。






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