先生、近づいても、いいですか。
◇
「おいお前ら、そんなとこで立ち話すんな。
他のお客さんの邪魔になるから、早く列に並べー」
「は~い」
修学旅行初日。
集合場所は、新幹線の改札口近くにあるピロティ。
みんな大きな旅行バッグを抱えて、これから始まる修学旅行への期待で興奮した様子です。
すこし浮ついた生徒たちを、先生がたが必死で静め、一般客の邪魔にならないように並ばせています。
早めについた私は、もうクラスの列の中に並んで座っていて、ぼうっと周りを見ていました。
「ねぇねぇ、春川さん」
後ろの日高さんにつんつんと背中を突つかれ、私は振り向きました。