先生、近づいても、いいですか。
「え………」







春川が息を呑んだ。




これ以上ないくらいに目を見開いている。





それきり何も言わない春川の頭に、俺はぽんと手をのせた。







「…………そんな顔、すんな。


もうずっと、連絡もとってなかったんだ。


俺は………」







そこまで言って、急に、ふっつりと言葉が消えた。





また頭が真っ白なって、俺は自分が何を言おうとしていたのか分からなくなった。






春川の頭にのせた手が、小さく震えている。





あ、とか、う、とか、呻き声のようなものが口から洩れた。







「………先生」







糸が切れた操り人形のようになった俺の腕を、春川が唐突につかんだ。







「………外、出ましょう」







いつになく凛とした声で、毅然とした態度で言った春川に連れられて、俺は近くの公園に入った。






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