先生、近づいても、いいですか。
先生は私に気づかないまま、渡り廊下の途中で、突然足を止めました。




私も思わず、それに従います。






遠くから聞こえてくる生徒の声。




左側の窓から射し込み、廊下を照らす陽光。






渡り廊下には、私と先生しかいません。






先生は、ゆっくりと顔を上げ、窓の外を見ました。




白い光に彩られた、きれいな横顔。






その先には、はるか遠く、青く透き通った空が広がっています。





薄い雲が、ゆったりと流れています。






先生は、それを、ぼんやりと眺めていました。




その横顔には、さっきまでの笑顔が消え、灰色の疲れが浮かんでいるようでした。






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