夫婦ですが何か?


甘えられるんじゃん・・・・。


こうして、気持ちを通わせ気を許せば・・・頼ってくれる。


年下だとか関係なく。


うん・・・好きだなぁ。


キュッと抱きしめ目を細める。


改めて実感した彼女との関係の進歩に歓喜に満ちて、もう手放さないように存在を確かめ髪を撫でていると。




「・・・・・・・心音・・・めちゃくちゃ速くないですか?」




痛いとこつくなよハニー。


折角忘れかけていたって言うのに。


指摘され忘れかけていた欲が脳裏に浮上し動揺が走る。


しかもそれを的確に引き上げた彼女にどう言い訳をしようか。


でもどんな言い訳をしようがきっと彼女には通じないのだろうとも答えは出ていて。



「だって・・・ねぇ、・・・こんなに引っ付かれたら・・さ」


「・・・・不快ですか?」


「いや、むしろ可愛すぎて・・・」


「重いですか?」


「軽すぎてびっくりだよ。ちゃんと食べてる?」


「・・・・・・」


「おいっ・・・まさか食べてないのかよ?」


「食べてますよ。・・・・・少なくとも今日は」


「頼むから毎日食べて!だからこんなに細っこくなるんだよ!?」




言いながら確かめるように自らギュッと彼女の体を抱きしめて、そして自分の愚かしさに自滅。


何勢いで抱きしめてるんだよ。


今が一番自制心が危ういというのにうっかり密度を増してしまった体をゆっくり離し始める。


薄暗くて良かった。


表情を読まれたら今は困る。


絶対に赤い・・・。


思わず口元を抑えながら体の密度を減らしたのに、すぐにまた密着することになった。


雷鳴に反応した彼女がその距離を埋めてしがみついて、音自体は小さくても今は恐怖の対象らしい。


でも俺にとっては恐怖なんてない。


だからさ・・・千麻ちゃん。


こんな暗い部屋でね、好きな子に上に乗られて抱き付かれて。


平常心保てるほど俺出来た男じゃないんだって・・・。



「・・・っ・・千麻ちゃん・・・」


「は、はい・・はい、・・・」


「こ、恐いの?」



問いかければ声を出すのも切ない程らしい彼女が数回頷いて俺の胸に顔を埋めた。


あ・・・・変な感じ。


胸は異様に熱いのに・・・、お腹のあたりが生ぬるく冷たい。


さっきの水か・・・。


何とも言えない違和感と対立する欲。

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