夫婦ですが何か?
呆れているのだろうか?
だとしたら・・・本当に俺って情けない。
そんな風に自虐的に嘲笑の笑みを口元に浮かべそうになった瞬間。
フッと動いた気配に顔をあげて、上げた直後にはしっとりと唇に絡み付く同じような感触。
されていることを自覚しようとしている間に一度雷光がカーテンの隙間から入り込んで、ビクリと反応した彼女の動きでキスしていることを意識した。
あー・・・・、キス・・・しちゃった・・よ。
でも・・・、
何で?
決して自分から出ない口づけに目を閉じるのも忘れて不動になって、触れて密着するだけの唇が離れると自分の両頬に触れてくる彼女の指先。
「・・っ・・千麻・・ちゃん?・・・えっと・・・分かってる?」
俺・・・危険なんだよ?
こんな風に悪戯に刺激されたら堪えられないくらい。
今にも・・・この手が動きそうで、動いたら・・・止まれなーー、
「・・・・恐いんですよ」
「・・はっ?」
「雷・・・・・恐いんです」
「あっ・・・うん、・・・うん?でも・・・だからね、・・俺もーーー」
「キスしたら・・・離れられないんでしょう?」
「・・っ・・・・」
「だったら尚更キスします」
ヤバい。
薄暗い中でも近すぎて明確だったよ。
声ばっかりは気丈でいつものクールな千麻ちゃんの、すっごく切なそうでもどかしそうな可愛い・・・顔。
そして再び重ねられた唇が・・・・リミッター解除。
触れてしっとり重なった瞬間に素早く彼女と態勢入れ替え、床に縫い付けると食らいつく様に唇を重ねる。
血がのぼる。
心臓がドクンドクンと強く激しく体に響いて。
自分だけ余裕がないのが心音で露見しそうで、胸だけは離して距離を保っていたというのに。
首に絡み付いて引き寄せる彼女の手。
瞬間、パッと光った窓の外にビクッとした彼女が可愛くて愛おしくて羞恥心なんて一気に飛んで。
抵抗あった最後の砦も崩れればしっかり体を密着させてお互いの存在を確かめるような愛撫を繰り返す。
「・・・っ・・・・」
「・・・恐いの?・・・千麻ちゃん」
光と、音と・・・。
全てを拾って反応する彼女の頬に触れ額を合わせながら問いかえれば、言葉なしに数回小さく頷いた彼女の唇を塞ぐ。
激しくではなく、労わるように・・・慰めるように。