夫婦ですが何か?
酷くゆるく・・・甘く。
スッと唇に絡んできた唇の感触に余計な思考はあっさりと打ち砕かれて。
受け身で触れた唇に浸って溺れてすぐに自分の方が積極的になって。
角度を変えながら深まるキスの合間、呼吸を求めて開く唇の隙間に舌を滑り込ませて。
でもすぐに彼女の方からも絡み付く濃密なキス。
相変わらずキスが上手い。
いつまでも交わしていたいくらいの巧みさにうっかりこっちが呑まれそうな程。
でも、雷様様。
少し大きめのそれが響けばビクリと反応した彼女と唇が離れて一度休止符。
「・・・・大丈夫?」
「・・・・っ・・あまり、」
「恐い?」
「・・・・・だから雷はきらーー」
「俺と・・・こうするの・・・恐い?」
聞いて・・・・どうなるんだ?
俺・・・。
それでも思わず聞いてしまった言葉に彼女が沈黙し、俺もその沈黙に気まずさが募っていく。
せっかく彼女が作ってくれたタイミングにこうしてヘタレにも踏み込めない俺は情けない。
でも、だって・・・、
「・・・・・・私は・・・間違ってますか?」
響いた疑問。
耳に取り入れ自分なりに解読に取り組んで、結果よく分からないと視線を絡める。
疑問の問いに疑問の表情で返してしまうと、まっすぐに俺を見上げていた彼女の補足の響き。
「やっぱり・・・・私には向いていないのでしょうか?」
「・・・・千麻ちゃん?・・えっと・・・何?」
「・・・・・・・・『甘えるポイント』・・」
「・・・・・」
「言ったでしょう?・・・っ・・甘え方なんて分からないから・・・そのポイントも自分では捉えにくいんです」
「・・・・・」
「・・・・・黙らないで・・・よ」
ムッとしたような表情。
でも薄暗くても分かるよ。
千麻ちゃん今・・・・顔・・赤いでしょ?
別に明確にその色味を捉えたわけでもなく、彼女の声のトーンや外された視線と口元を覆う手の甲。
全ての要素でそれを理解すると・・・。
あっ・・・欲情。
色々と、
今日の反応は反則だぜ・・・・ハニー?
「・・・さすがだね・・・千麻ちゃん」
「・・・・・」
「『甘えるポイント』・・・完璧です・・・」
完璧すぎて・・・・完全にアウトだ・・・・。