夫婦ですが何か?



暗い部屋の床で望んだ時間の再開に見事溺れて息を乱して。


初めて見るに近い怯んだ彼女を乱して啼かせて。


雷が鳴り響くたびに彼女には悪いけれど自分の優位の後押しに口の端が上がる。


雷に怯えて、快楽につけこまれて、知っている中で一番愛らしく弱弱しく翻弄される彼女に感情の崩壊。


おかしくなるくらい・・・・大好きだ・・・・。


もう十分に・・・雷で怯えているんだから・・・、無効でしょ?


そう判断すると体を起こして着ていたパーカーを雑に脱ぎ捨てて彼女を見下ろす。


微睡んだ眼差しと視線を絡めて、最後の隔たりの解除を彼女に確認するように見せつけて。


ニッと口の端が上がるのを捉える。


追って・・・息の上がった彼女の声。




「・・・・不快」


「・・・・」


「その・・・濡れたパーカーが不快だったんです」


「・・・・千麻ちゃんの負けず嫌い」


「狡い手で私を乱してるあなたに言われたくない・・・」


「千麻ちゃんが・・・可愛いのが悪い」



てっきり・・・、不満そうな声で反論されるのかと思った。


だからこそどんな意地悪で返してやろうかとそんな笑顔で見下ろしていたのに。


ジッと俺を見上げた彼女がスッと半身を起こして唇を奪う。


しっとりと押し付けられた唇にそれ以上の行為を繰り返していたくせに動悸が走り。


名残惜しくも離れた唇と捉えた彼女のどこか哀願するような表情。




「・・・・・・甘えさせて・・・ダーリン・・・」




ああ、もう・・・・、


千麻ちゃんには敵いません。


結局最後に翻弄するのは千麻ちゃんの駆け引きの様な甘さなんだから・・・・。


今だってまだ怯えてるくせに、


余裕なんてないくせに・・・。


でも・・・、


そんな千麻ちゃんが大好きで愛おしくて・・・・。


全部・・・俺の物だから・・ね?





馬鹿みたいに乗せられて、


翻弄してるつもりが翻弄されてて。





それでもいい、


それでもいいから・・・・・。



もう二度と・・・離れたくないんだよ・・・・千麻ちゃん。


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