夫婦ですが何か?




彼女のストレス解消法。


シューティング系のゲームで頻繁にこうして隣り合って2人でやったりするけど。


そして彼女の素晴らしいスコアに感動もするけど・・・。


無表情で完璧に敵を蹴散らす奥様が時々恐い。


そして問題なのが・・・スコアがハイであればあるほど彼女の中で何か悩みがあるという事なのだ。


そして稀にみる高スコアな現状。


隣で無表情ながら満足げにしている彼女をチラリと確認し、何を考えているのか探るように見つめた。


まぁ、こうしてる時間もなかなか和やかで好きな瞬間なんだけどさ。


やっぱり・・・・夫としては気にしておく部分でしょ。


そう自分に言い聞かせると次のステージを待つ彼女の背後に手を回す。


首の裏で揺れる髪を指先に絡めてその意識を俺に引き寄せるように遊んでみる。


見事その視線が俺に移って、『何をするのだ?』と問いかける眼差しを感じたら成功。


あとは・・・、



「何を悩んでるの?千麻ちゃん」



にっこりと微笑んでその投げかけをするだけ。


でも彼女の事だから一言目では、



「別に・・・悩んでません」



そう言うはずで、だからこそ念押し、



「微々たる事でも夫として聞いておきたいなぁ。・・・・悩むのは胎教にも悪いよ?」



こう言ってしまえば最強。


俺を引き合いに出すよりお腹の子供を理由にすれば普段は固いその口も、驚くほど能弁に切り替わったりもする。


それでも珍しくグッと口を閉ざした彼女にさすがに疑問に思って首を傾げた。


そんなに深く重い悩みなのか?


一瞬心がざわめいたけれど、見つめていた彼女の表情が俺が懸念するような物には感じず。


むしろどこか気まずそうに落ち着かないそれ。


少し・・・顔・・赤い?


そんな事を思って見つめて言葉を待っていれば、スッと無言で立ち上がった姿に呆然とする。


アレ?


怒った?


そんな不安もよぎる空気の中スッとその身を動かした彼女がリビングのクロークを開けると、普段であればそこまで探らない奥の奥から何やら本を数冊とりだして胸に抱く。


ってか・・・そんなところに秘め事作ってたんですか。


その事実に彼女らしくないと驚きつつも愛らしく感じたり。


その愛らしさ膨張させるように振り返った彼女ときたら・・・、仏頂面に程よい赤み。


あっ・・・可愛いわ。



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