夫婦ですが何か?
腕にしっかりと、でも今更詳細隠すように雑誌を抱きしめ俺の隣に戻ってくる姿。
静かに元いた位置に座ると、ここに来ても尚隠すように何か目的のページを探して雑誌をめくる。
見たくても俺に背中を向けてガードしてのそれに、彼女が示すまで待つしかなく。
それでも微々たる間。
どうやらそのページに達したらしい彼女がチラリとこちらを振り返ると何故かその眉根を寄せて不機嫌そうに声を発した。
「今から・・・」
「うん、」
「とっても重要な質問をします」
「・・・うん、どうぞ、」
何だろう?
恥じらいながら重要な質問?
どういう心構えで待てばいいんだ俺。
よくは分からないけれど彼女にとっては恥じらいながらも重要な事らしく、後ろ手に雑誌を二冊目的のページを開いて持っていた彼女が、いよいよ意を決したらしく息を吐くとようやくその詳細を提示した。
「あ、・・・あなたなら・・・どっちが私に似合うと思いますか?」
「・・・・・・・・・・・・・・ど、どっちも、」
突然の・・・しかも予想外の質問だったが為に多分一番よろしくない回答をしたであろう俺。
それを示すように彼女が不愉快をその顔に刻んだのが分かる。
顔赤いけど・・・。
だって、
だってさぁ・・千麻ちゃん。
いきなり・・・、
「どっちのドレスも千麻ちゃんに似合いそうだけど?」
ウェディングドレスの選択迫られたって、思考が追い付いて喜びそうな返答できないって。
「どっちもじゃ・・・困るんですよ」
「・・・ってか・・・それ・・・悩んでた?」
「だって一生に一度の事じゃないですか」
「・・・二度目だけどね」
「私が望んでのそれは初めてです!もう見れば見るほど悩んでしまって・・・、こっちのドレスのラインが好きなんですけど、式を上げるころにこのお腹がどうなってるか・・・。お腹の大きさカバーするならこっちなんですけど・・・でも、ああ・・・」
と、床に雑誌を2冊広げて、両頬を自ら包みながら珍しく眉尻下げて真剣に悩む彼女。
その雑誌もよくCMで『プロポーズされたら、』見たいな文句で有名な結婚雑誌で。
よくよく確認すると色とりどりの付箋でページチェックされている2冊。
読み込んでいる。
そしてかなりしっかりチェックしている。
あれ?
何だかんだで・・・・、
この結婚に盛り上がってくれちゃってるんだね?
千麻ちゃん。