夫婦ですが何か?
あ・・・ヤバい・・・。
そう思ったのは行動した直後で、気がつけば彼女を押し倒し見下ろしていた視界。
「あ・・れ?」
「『あれ?』は私のセリフなんですが・・・、何発情してるんですか?」
「いや・・・、発情とはちょっと違う気が・・・ただ・・・」
「ただ?」
「・・・っ・・・死ぬほど・・・可愛い悩みに迷う千麻ちゃんが愛おしくなっちゃって・・・・」
「っ・・・・」
「・・・どうしよう?大好きなんですけど・・・」
「っ・・知りません!!」
「あ、顔真っ赤・・・」
切なくて、もどかしくて。
どうしたらいい?と言いたげに困った表情で至近距離から覗き込めば、ドレスの件からすでに平常でなかった彼女も珍しく動揺を見せて。
俺の奇行に表情ばかりは眉根を寄せての不満顔なのに、どこか怯んだように赤面する姿に完全にアウト。
彼女の両頬をしっかり包み込むと、しっかり密度の高いキスを落として不動になる。
そう密度。
濃密なキスとかそういうのじゃなくて、押しつけ接触メインの子供同士のキスの様な。
だって・・・あんまりにも愛らしくて。
欲情とかじゃなくてさ・・・・愛おしくなっちゃったんだよ千麻ちゃん。
浮れてるのは・・・・俺だけじゃないんだ。ってね。
しばらく唇に自分の熱を落として、ようやく満足して離したのに再び捉えた彼女にまた突き動かされ今度は頬に口づけていく。
熱く紅い彼女の頬と、いつもより早い心臓の音に更に浮れる。
可愛い・・・。
「ね・・・俺の事好き?」
「・・・・・嫌いなら・・・再婚しません」
「もっとシンプルに答えてよ・・・二文字で、」
「狡い・・・指定じゃないですか?」
「もっと言えば・・・【す】で始まる返答でお願いします」
言いながら彼女の唇を啄んで、言葉を発しやすいように隙間を開けた。
でも更に追い打ちの言葉で念押し。
「有能な千麻ちゃんなら・・・・俺の満足する答えを口にできるでしょ?」
「・・・・・【スカ】」
「・・・・おお、それはそれでよく見つけて引用したなぁって納得したよ」
「そうでしょう?」
「さすがだね千麻ちゃん」
「私は当たりくじに巡りあわない女なので」
はずれくじだと言いたげに俺を指さしクスリと笑う彼女に苦笑いを返して、それを非難するように唇を甘噛みした。