あい、君。
「俺、牧野翼って言うの。よろしく!」
「あ…僕、米沢奏斗…。よろしく。」
僕もとりあえずニコリと笑みを返した。
「奏斗な!…それにしても、教室静かじゃね!?」
「そうだね。てか、牧野君元気だね。」
「ん?おお!だって元気じゃねーと、人生損だろ!
楽しまなきゃな!
ていうか、翼でいいぞ!」
翼は快活に笑う。
…うーん、苦手なタイプだ。
僕には絶対にできないな。
そうこうしているうちに、ようやく担任だと思われる教師がきた。
眼鏡をかけた優しそうな風貌の男性だった。
「えー、この1年E組を担当することになりました、芦屋といいます。
一年間、よろしくおねがいしますね。」
若いが、目尻の笑い皺が優しさを引き出していた。
「いい奴そうだな!」
翼が小さな声で呟いていた。
うん。すごくいい人そうで安心した。
「じゃあ、今から入学式なんで、廊下に2列で並んでくださいね。」
芦屋先生はそう言うと、教室をでていった。
みんながガタガタ席をたち始め外へ出る。
僕も行くかー。
席を立ち、廊下に出る。