あい、君。
廊下にはたくさんの新入生で溢れていた。
隣のクラスの人たちもぞろぞろでてくる。
彼女はクラスに馴染めただろうか。
…て、まずは自分の心配したほうが良さそうだけど。
「奏斗ー。入学式とかタルいよな。サボりてー!」
ケラケラ笑いながら翼が話しかけてきた。
「そうだなー」
たしかにダルい。
僕は翼に同意する。
…あ、彼女だ。
隣のクラスの前の廊下に立っていた彼女を発見して、少し笑みがこぼれた。
「ん?どうしたの?…あの子?」
翼が俺の目線の先をみる。
「ひゅーっ!可愛いね!一目惚れ?」
翼が冷やかしてくるが
「そんなんじゃないよ…。今日事故に遭いそうだったところを助けてくれただけ。」
そういうしかなかった。
「へー、そうなの?でもそれ、運命っぽいな!」
翼はにやにやしていた。
そうこうしているうちに僕たちは入学式をやる講堂にいった。
…運命か。
彼女との出会いはたしかに運命のようだと思う。
可愛かったし、きついこと言われても少し心臓にきたのは確かだし、これからも話したいと思った。
でも高校というこの場で話していくことはむずかしいかな…。
ボーと考えているうちに入学式は終わってしまった。
校長の話が長かったのだけは覚えているが…。