あい、君。
篠瀬さんと話している人の中でもとりわけ一番親しそうにしていたのが、背の高いポニーテールの女子だった。
目は少しつり目で、しかし愛嬌がある顔立ちをしている。
世話好きそうだ、というのが第一印象だった。
ジーとみているのに気がついたのか、ポニーテールの子はこっちをみてニカッと笑った。
「私、指田由枝っていうの!よろしく、米沢くん!」
「え、なんで僕の名前…」
「あはは!こんな可愛い茉智に熱烈ギューされて有名にならないわけないよね!
名前くらい覚えるよ!」
指田さんのとなりで篠瀬さんは顔を赤くしてうつむき呟く。
「熱烈ギューじゃないし…」
「そう?私にはそう見えちゃった!」
ケラケラ笑ってる指田さんをみて、僕は安心した。
友達ができたんだなー。
そう思うと同時に、何か寂しいものがあった。
でも、朝の僕との出会いを通じて友達ができたのなら、命の恩人だし良かったのだろう。