あい、君。
それにしても、さっきの翼はかっこよかったな。
僕にはあんなこと言えない。
恥ずかしいとかじゃなくて、単に思い付かないだけ。
「…これ美味しそう」
篠瀬さんが隣でボソッと呟く。
「なに?」
覗きこんでみると、メニューの中には大漁の唐揚げが入ったボックスが描かれていた。
「…このメガ盛り唐揚げ?」
すると、篠瀬さんはコクコクとうなずいて見せた。
…パフェとかを期待してた僕がいけなかったのか…
「食べる?」
「…でも、注文するのが恥ずかしいからいいや。」
瞼をふせて言った。
「じゃあ僕が頼んでくるよ。その代わり1つ頂戴。」
僕が少し笑うと、篠瀬さんは伏せていた目を上げ、満面の笑みでうなずいた。
「じゃあ頼ませてあげるっ!」
あー…そうか。
なんか指田さんの気持ちがわかるかも。
ちょっと上から目線だけどなつかれるとスゴい嬉しいや。
僕が電話で頼むと、15分くらいしておっきなかごが届いた。
こういうカラオケって大抵来るの遅いよな。
篠瀬さんの前におかれた唐揚げを、美味しそうに頬張る。
…リスみたい。と思ったのは僕だけじゃいはず。