あい、君。





「あんた、バカじゃないの?

交差点は一時停止。

それを守らなかったあんたが痛いだの死ぬだの言える資格あるかっての。」



大体ねーー。

そういい続ける彼女を、やかましい女だな…と思いながら見ると、僕の口は拳一個入るんじゃないかというほどに開いた。



ふわふわの焦げ茶のロングにくりくりの目。

上向きで量の多いの睫毛に真っ白の肌。

なのに頬はピンクに染まって。


身長が低く、可愛いだけじゃ表しきれない、


…そんな感想だった。




「…なによ。聞いてるの?」


ギラッと睨んでくるが、余り怖さは感じなかった。




「あれ、でもどうして僕無事なんだろ。

確実に轢かれると思ったのに…。」



「ちっ。私の話は無視ですか。

…目の前で事故起きるとか、朝から目覚め悪いじゃない?

私今日入学式だし。

だからあんたの服つかんで、後ろに引っ張ってあげたのよ。

わざわざ走ったじゃない!」


ピンクの頬を赤く染めて声を荒らげる。


鈴を転がしたような声が僕の耳を通り抜けて、怒られてるにも関わらず何故だか心地よかった。





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