あい、君。
話を聞いて、1つ嫌なことが頭に浮かんだ。
…………自転車は?
「…ってそうだよなーーーー!!
……ペッシャンコじゃんっっ!」
振り向けば車に当たったであろう、その自転車は見る影もなかった。
これが俺の末路だったと思うとこわい…。
「しょうがないじゃない。
あんたを助けることはできても、自転車まで止められるほど私力ないわよ。」
「いや…、助けてくれてありがとう。」
自転車はショックだけど、命あっての物種だよな。
とりあえず自転車は横に避けておこう。
「あれ、そういえば入学式って言ってたよね。
谷内田?」
「そうだけど…。あんたも?」
「うん!同級生みたいだね!
よろしく!」
僕が手を出すと、女の子もおずおずと手を出して握ってきた。
少し顔が赤いのは気のせいか…。
照れ屋なんだろうな、きっと。