ひまわりの約束



ーーーカツカツカツカツ


お祭り会場近くの通りに出ると
色とりどりの
浴衣姿の人が目立つ



この辺りの子供たち
みんなが行くお祭りやけん
ド田舎なんに
かなりの混雑になるんよね。



「…下駄履きなれんけん。歩きにくい…」



慣れない下駄に
少しだけ悪戦苦闘しつつ
ついた思い出の場所




「…荒木屋。」



あの頃よく通ってた駄菓子屋さんで
夏祭りの時は
ここから花火見てたっけ。

駄菓子食べながら



お祭り会場は
人混みで大変やけん
花火の時間は
ここに戻るのが定番やった。



今日もあいてるみたいで
あたしはおばちゃんに声をかけた。


「おばちゃん。お久しぶりです。」


「ありゃ。葵ちゃん。元気やったかい?」


「はい。おかげさまで。」


「今日お祭りで浴衣姿に?
似合っとるねぇ。
あの頃と変わらんわぁ。
おばちゃん。

葵ちゃんの浴衣姿見てれ嬉しかよ。

ほんて。」


「ありがとうございます。
あっ。いつもの駄菓子まだあります?」


「棒カステラと棒ゼリーかい?あるよ。…はい。150円ね」


あたしはおばちゃんにお金を渡すと
棒カステラと棒ゼリーを受け取った。


「葵ちゃん。昔から、これ好いとったもんねぇ。」

「今でも、昔を思い出す駄菓子ですね。あっ。横のベンチ。借りてもいいですか?」


「あぁ。よかよぉ。…誰か待つんかい?」


「…あっ。まぁ。そんなとこです。」


「そうかい。花火はもうじき始まろうけん。早よ来なると良かねぇ。」



「はい。んじゃあお借りします。」




あたしはおばちゃんに
笑顔で挨拶すると
建物の隣にあるベンチに座って


買った駄菓子を開けた。



懐かしい匂い


あの頃
日向もこれが好きで
一緒によく食べてたんよね。


食べさせ合いっこしたり…

学校帰りに買い食いしてたっけ…





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