ひまわりの約束


〜日向side〜




俺はひまわり畑を後にすると
振り返ることなく歩いていく。



…俺にとって

思い出の場所はひまわり畑だ。

葵にとってもそうだと思っていた。



あの場所は
幼い頃
俺たち2人が
一緒に幸せになると約束し
誓った場所



葵もあの時、ここが気に入ってくれて…



「…俺の思い込みだっただけか…」


唯一の共有部分だと思ってたから

ショックがデカイ…



「…はぁ。」



もう言葉すら出てこないわ。


後悔だらけ


ちゃんと場所を伝えるべきだった…


そしたら
会えなかったなんてことには
ならんかったやろうし…



でも1つわかったこと。



もう葵は煌月のところに行くんだよな。

俺のところやなくて



俺は外野に出されたんだろう。




なんかそんな感じがした。









…病気の話、明かさなくてよかったかもしれんな。




葵の幸せを邪魔するものやけん。



これからは友人
クラスメイトとしての関係だ。






そんなことを考えてるうちに
自宅についた。



鍵を開けて中に入る


誰もいないから
静かだけど。



「…はぁ。疲れたわ。」



俺は部屋に入ると
ベッドに仰向けで寝転んだ。



あいつと関わるたびに
辛くなる
悲しくなる


少しずつ陣地がなくなってるようで

辛いのはなぜ……



……ピーンポーン


部屋に響き渡るインターホンの音


「…誰だよ。」


俺は起き上がって
玄関に向かった。



ーー…ガチャ


「…はい。っ来夢。」


「…うぃーす。」


「なにしに来たんだよ。」


「ちょっ。話あんだ。」


「…話?」


俺はとりあえず、来夢を部屋に上がらせた。


「んで。話って?」


「お前。いい加減さ。素直になれ。」


「あぁ?」


「あーちゃん泣いてた。
抱きついてきたし。
…まぁ。

あーちゃんは送って行ったけど。」




「…だからなんだよ。」



「…お前がちゃんと場所
伝えねぇからこんなことになんだよ。

あの日だってそうやん。」




「…わかってんだよ。そんなこと。」




「…んじゃあなんで。」




「…それくらい通じると思ってた。
あいつなら大丈夫だって。


でも違った。
少しズレが出てたみたいだな。

記憶の中で


しんどくて辛い中で会う決断した俺にとって、これはショックに近いんだよ。

会えなかったっていうのは」




「…お前。最低だわ。」





「はぁ??なんで俺が」




「最低だよ。話聞いてつくづく思ったわ。この話を持ちかけた俺がバカだった。」




「…」




「………わりぃ。

お前もいろいろ
抱えてんのはわかってるから




でもな?
せっかく学校一緒なんだからよ。
仲良くしろよ?



…じゃあな。」





「あぁ。…玄関。開けるな?」




俺も立ち上がり部屋を出ると
来夢を送り出した。




ーー…ガチャ


「…はぁ。俺は最低…か。」


…さらっと言われた感じが
なんでか胸にささる。



…俺は最低なのか。


ショックがでかすぎる。


俺は何がしたいのか。
どうしたいのか…



「…っ」




俺は目に浮かぶ涙を拭うと
部屋に戻った。




〜日向side end〜










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