ひまわりの約束


ーー…



「まくってやるから、手出しな?」



「…うん。」




手を出すと
クルクルとまくっていく日向。



誰一人いない手洗いに
あたしと日向の声と水の音だけが響く




「あっ。ありがと。日向。」



「…別に。大したことしてねぇから。」



「…」


「…さっき事務からカットバンもらってきたから。貼っときな?」


そう言って渡してきた
大きめサイズのカットバン


「…ありがと。日向。
ここまでさせて…ごめん。

競技戻りなよ。

あたしなら大丈夫だから。」




「…わかった。」



しゃがみこんでた日向は立ち上がると
そのまま体育館へ姿を消した。



…本当は
嬉しくて
もっと一緒に居たかった。


けど
ドキドキに耐えきれんくて…


「…はぁ。」


あたしに残る日向の温もり

温かくて優しい



いつもならむすっと無表情なくせに…




あたしは貼ったカットバンを見て
微笑むと

体育館に向かって歩き出した。


…日向。

少しだけまた距離が縮まったかな?


でもどんな思いで
あたしに接してくれたん?


…あたしは


日向のこと。


大好きなんだけど…な。




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