ひまわりの約束
〜日向side〜
さくらの存在を認識してから
2週間
さくらはベーシックだから
帰りがかぶることはなかなかないけど
会えばべったりくっつくようになった。
葵は同じ方面の電車に乗る
いつこの瞬間が見られるか
内心ヒヤヒヤなんやけど。
車両の一番端の立ち席で
流れる景色を眺める
「ったく。もう付き合ってねぇぞ。」
「わかってるって。」
「んなら離れろって。」
「…ケチ。」
…ケチじゃねぇよ。
「今まで絡んでこんかったくせに
なんで
このタイミングで
絡みにきたんだよ。」
「…だってさ。葵ちゃんと
仲良さそうにしてたし。
あたしの方が
日向のこと知ってるんに…」
「ったく。嫉妬かよ。」
「いや。あたしが日向に
ふさわしいと思ってる。
葵ちゃんなんかよりずっと」
「だからってな。さくらっ」
「…あたしがなんで
商業を留年したか。
入院してた日向は
知らないだろうけど。」
「…なんだよ。それ。」
俺はさくらが留年した理由なんて
知らねぇよ。
知る必要もないと思ってた。
…だから。
さくらは
うつむき加減で
話し始めた。