ひまわりの約束
「…はぁ。」
俺は思い切りため息をついた。
…さくら
…あいつ。
…
さくらのお母さんには
かなり良くしてもらった。
部活ない日とかに
親が帰ってくるまで
家にあがらせてもらって
夕食まで
ご馳走になったこともあったっけ…
あの時の
優しいお母さんの笑顔が
印象的だった。
さくらのお父さんに
サッカーのパスの相手
してもらったこともあったし
試験勉強まで
さくらと一緒に
させてもらってた。
すごくお世話になった家族。
それがこの2年半強で
崩壊してしまったなんて…
…ショックすぎる。
…さくらは
絶対に辛いはずだ。
俺よりも…
せめて…
なにかできないかな…
そんなことを考えてるうちに
乗り換えの駅に着いた。
♪〜♪〜♪〜♪〜
制服のポケットから
携帯を出すと
煌月からの電話を知らせる
音が響いた。
「…なんだよ。煌月。」
「…葵ちゃん。お前の過去を知りたがってる。
放課後、俺に聞いてきた。
…だから
さくらの話だけはした。」
「…そうか。葵が。…
なぁ。お前、さくらの幼馴染だろ?
…さくらから全日校時代の話
詳しく聞いてねぇか?」
「…聞いてなくはない。
親父さんは離婚後
他の女と再婚したらしい
お袋さんは育て方を間違えたと
嘆いて、精神的に参ったらしく
自殺してしまった。
今年の頭あたりから
お袋さんの方のばぁちゃん家に
居候してるってさ。
んまぁ俺も最近知ったし
まさかここに通ってるとは
しらんかったけどな。」
…煌月もさくらの状況は
知らなかったわけか。
改めて聞いても
やっぱりショックが大きい…