ひまわりの約束
ーー…
「…っ。大丈夫?日向。」
すごく心配そうに
俺を見つめてくる花凛
「…あっあぁ。大丈夫。わりぃな。」
「…ふぅ。落ち着いたみたいね。」
「…日向。アルバム見ちまってる。」
「…わりぃ。たまたま見つけて。」
…なんだか見なきゃいけないような
気がしたんだ。
お袋の記憶を
思い出にするために。
「…いいの。日向は隠しても、ママのことを忘れたり、嫌いにはならんよね。
…私がバカやった。
ごめんね。」
「…なぁ。このアルバムは誰のなんだよ。
俺見たことねぇけど。」
「これはママが大切にしてたアルバム。
…あの時、
日向は入試前だったから
私とパパで遺品整理に行ったの。
おばあちゃんの家に置かれてた遺品の中にあったのが
このアルバムと
日向と私、パパと再婚相手に当てられた手紙。
でも日向には渡せなかった。
一番大事な時期だったから。
日向の将来を邪魔したくなかった。」
「…日向。花凛の気持ちも分かってあげてくれねぇか。
お前とおなじように
彼女も悩んでたから。」
「…わかってる。」
…花凛だって
実の母親を失ってんだ。
子供もまだ幼いし
いろいろ大変だったはず
「…これ。日向宛に書かれた
ママからの手紙。」
そう言って
アルバムの後ろから
取り出して渡された
白い手紙。
でも俺は開けることができない。
…怖くて。
どんな気持ちで見ればいいか
わからんくて…
「気持ちの整理が着いてから
読んだらいいよ。
今日はうちに泊まる?
帰るなら千聖に送ってもらうけど。」
「今日は帰るわ。」
「わかった。千聖。送ってやって?
私、子供たちの相手あるから。」
「了解。日向。立てるか?」
「あぁ。大丈夫だ。」
俺はゆっくり立ち上がると
部屋を後にした。