ひまわりの約束
〜日向side〜
「…はぁ。ったく。」
俺は何やってんだか…
ポテチ片手に
俺は外を眺めた。
…はぁ。
…辛い。
…あいつらを
仲間だと意識するたびに
心が痛む
あいつらと居る時間が
楽しいと感じるたびに
辛くなる。
あいつらを大切に思うたびに
フラッシュバックする
あの記憶。
「…はぁ。辛い。なんでこんな…」
俺は気分転換に
本棚から漫画を取り出した。
「…ん?なんか奥にあんな。」
そっと漫画をよけて
奥のものを取り出した。
「…秘密のノート。」
…小学校時代
担任に月1で提出してたノートだ。
あぁ。こっちに引っ越す時
捨てずに全部
ダンボールん中詰め込んだから
パパさんが片付けてるし
なぜここにあるのかは
わからないけど
俺は恐る恐るページを開いた。
「おっ。小1…」
Q.しょうらいのゆめは?
A.あーちゃんのだんなさん。
Q.しょうらいしたいおしごとは?
A.おいしゃさん
Q.たのしかったことは?
A.ジャングルジムでみんなとあそんだこと
あーちゃん。らいくん。みかちゃんとゲームしたこと。
…あの頃の俺は。
来夢や美香、葵と遊ぶことが
当たり前で
クラスのみんなとも
仲良くしてたよな。
「…小6になった俺は…」
Q.将来の夢は?
A.あーちゃんと結婚して
幸せになること。
Q.将来したいお仕事は?
A.お父さんみたいな小学校の先生
…小学校時代
夢は全部
葵とのことばかり
幸せになるとか
旦那になるとか
結婚するとか…
仕事はコロコロ変わんのに。
最後のページをめくると
小6の時の担任から
かなり長めのメッセージが
添えられていた。
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日向くんへ
今回転校されるということで
最後に先生からメッセージと
神先小学校の特製卒業証書を
授与したいと思います。
日向くんの将来の夢は
ずっと変わらず
葵さんのことでしたね。
仲良しだということは
知っていましたよ。
その夢
近い未来
叶うといいですね。
でも先生は信じてますよ。
いつかまたどこかで2人再会すること。
2人は運命で結ばれてるって。
もしいつか葵さんと再会したら
それは運命だと思いますよ。
成人した時
2人が幸せな笑顔で
会いにきてくれることを
先生は願ってます。
日向くんなら
転校先でも仲良しのお友達を
作れると思います。
中学、高校と
これから先
いろんな困難があるかと思います。
でもここで学んだこと
経験したことを
忘れず
勉強、スポーツ、部活
何でも一生懸命に取り組んでください!
日向くんならやれるはず!
先生は信じてますよ!
お互い頑張っていきましょう。
こっちに来た時は
小学校に立ち寄ってね。
先生たちみんな待ってますよ!!
馬場 千鶴
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「…先生。」
こんなメッセージ
書いてあるなんて
知らんかった。
あの日、車が出るギリギリで
渡されたから
見てる暇もなかったんだ。
…先生。
俺と葵が再会することを
信じてたんだ。
んで今
実際に再会した。
….運命的に。先生いわく。
その後ろのページには
厚紙で作られた
手作りの卒業証書
”明るく元気で仲間思いで優しい日向くんはクラスのかけがえのない存在でした”
あの頃の俺は
フラッシュバックする記憶
『はぁい!!昼休み
ドロじゅんやろうぜっ!
参加するやつこの指とぉまれー。』
『はぁい。』
『俺もー。参加ー。』
『んじゃあクラス全員でな。せんだんの木のとこ集合なー。』
そうやって率先して
クラスみんなで遊んでた。
蹴り野球したり
ドロじゅんしたり
ドッヂボールしたり
中庭で大縄跳びの8の字
練習したり
1年生と一緒に遊んだり…
…活発だった。
目的なんて考えなくてもよかった。
普通にしてるだけで
笑いが起きて
場が盛り上がり
自然と友達がいた。
「…あの頃は楽しかったな。」
でも今は
あんな風に楽しめない
楽しむだけで
しんどいんだ…
俺はノートを本棚の奥に戻すと
布団に潜った。
静かに心を落ち着かせるように……
〜日向side end〜