ひまわりの約束
ーーー…翌日放課後
「…もうすぐ最後の講義終わるか。」
あいつの話を
ちゃんと聞いてあげなきゃなんない。
そして俺の気持ちも。
「日向先輩。」
「おぅ。飛鳥。わりぃな。」
「いえ。さくらがそんな思いしてるなんて、俺知らなくて。」
「あいつ。お前ら仲間には繕ってるみたいだからな。」
「俺…さくらをどうにかしたいです!
…大好きだから。」
「…っ。お前、さくらのこと。」
「はい。大好きです。
でもさくらは日向先輩のことが好きみたいで。」
「…俺はあいつと復縁してまで付き合う気はないよ。
俺には別に大切な人たちがいるから。
さくらにはもっと伸び伸びと高校生活過ごして欲しいから。
お前も全力でぶつかれ。
あいつの心ぶち壊してやろうぜっ!」
「はい!!!頑張ります!!」
「昨日話したようにすればOKやけん。
残りの4人に伝えて?」
「了解しました!!では後ほど。」
そう言って飛鳥は小走りでテラスを後にした。
キーンコーンカーンコーン
…チャイムが鳴り響いた。
最後の講義が終了
いよいよ。さくらが来る
ーーー…ガチャ
「…日向?」
「あっ。おぅ。さくら。こっち座れよ。」
「うん。ありがと。」
「…なぁ。昨日。寂しい。辛いって言ってたやん?
どうしてそんな思う?」
「…ひとりぼっちやもん。
友達も居ない。親もいなくて
お婆ちゃんには気ぃ遣うし
もちろん、その場しのぎくらいの
知り合いならできたよ。
でも深い話はできない。
なんか繕っちゃう。無意識に
辛いのに笑い飛ばして平気なフリしちゃうし」
「…そっか。
俺はさ、親から捨てられた、
大切な人がいなくなった
現実から逃げたくて
逆に人と関わらなくなったけど
お前はそれじゃさみしいんだよな。」
「…うん。」
「…さくらはさ
大切な人から裏切られて
いじめられた経験あっから。
人を信用するなんて
無理だよな。
本音を話したいけど
心のどっかでは
怖くて話せないって思ってるよな。
無理ねぇよ。」
「…本当はね。ここでできた
知り合いのみんなが
優しくていい人だってわかってる
でもいざ真剣な話とか相談する時になると。うまく言えない…
もっと仲良くしたいよ。
日向にいつまでも甘えられないこともわかってるから
来年は1人でしなきゃいけないことだって…」
「…徐々にでいいんじゃねぇの?」
「えっ?」
「…だってお前にはもう仲間居んじゃん。大切に思ってるからこそ
また裏切られたらって不安なんだろ?
でもお前はゆっくり徐々に
前に進めばいいんじゃねぇの?
…1年留年
遅れることは辛いかもしれん。
けどマイナスだけじゃねぇはず。
みんなより1年高校生活を楽しめる。
みんなより1年進路を決める猶予ができる
残り1年の過ごし方で変われるはず
少しずつでいいから
自分を出していこう。
今こう思ってる、どうしたい
これで悩んでる
みんなはそれを待ってるはずだよ。」
「…日向。」
「…それと俺の気持ちな。
正直な話
やっぱりお前のアプローチに
答えることはできない。
付き合うつもりはない。
俺には大切な人がいるから。」
「…葵ちゃん?」
「…誰かは秘密。さぁ。帰ろっか。」
「…わかったわ。」
俺はベンチを立つと
さくらを誘導するように
先を歩いた。