ひまわりの約束
「おはようございます。
どなたの面会でしょうか?」
「えっと…椿 日向。です。」
あたしが日向の名前を出すと
受付の人は
少しだけ
曇った表情をした。
「少々お待ちください。」
そう言って受付を離れると
どこかに電話をしに行った。
あー。ウソであってほしい
ドッキリであって欲しい
…そのような方は
入院されてません。
その言葉が聞きたいんだ。
でも現実は
そんな甘いもんじゃなかった
「椿日向くんは先ほど502号室に入られたそうです。」
「…わかりました。」
あたしは受付の人に
行き方を教えてもらうと
エレベーターに乗り込んだ。
…やっぱり
ここにいるんやね?
日向…
嘘であって欲しい願いが
どんどん薄れ
現実味を帯びてくる
広いエレベーターの中に1人
重苦しい雰囲気が漂った。