ひまわりの約束





ーーー…コンコンっ


「…あい。」



「…日向。あたし。…葵ちゃん来たよ?」


「おう。」


……聞き慣れた声


あたしは深呼吸して
ドアを開けた。



「…おはよ。日向。」


「おぅ。葵。花凛。おはよ。」


「日向。どう?調子は?」



「まぁまぁ。

悪くねぇよ。」




「そっか。よかったぁ。


…じゃああたし
下の売店行ってきていい?
喉乾いちゃったから
ミネラルウォーター買ってくる。」





そう言って花凛さんは
病室から出て行ってしまった。






…なんとなく気まずい雰囲気


不安で部屋が重たい空気になる


…こんな時
なんて喋ったら




「…葵?…俺が手術受けること。不安?」


「…えっ?…まぁ少し。…いや。かなり」




「…まっ。それが普通か。

俺だって不安だわ。


手術したことで
この先ちゃんと生きていけんのか

わかんねぇんだし


でもな?」




「…っ!!」


日向は両手で優しく
でもしっかりと力強く
あたしの手を握った。



その瞬間
日向の強い意志と
無事に終わることを祈って欲しいという願いが伝わってきた。





「…葵や、学校のみんな。花凛たち家族が、俺の無事を祈ってくれる。

それだけで、俺は頑張れんだ。」




「…日向。」




「…大丈夫。ちゃんと生きて帰ってくるから。
一緒に卒業できるようにな。」




「…っうん。っぐすっ…」





日向の言葉に思わず涙が溢れた。




「…ったく。泣くなって。」


「…っだって。なんか…」


…嬉しくて

…でも不安でいっぱいで

…平常心を維持できないんだ。












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