ひまわりの約束


あたしの席は卒業生の最前列





左隣には
キャンパス長賞を受賞する
湖南くん





右隣には
総代の赤崎くん。





本当なら
日向が総代として座るはずだったんやけどな…





「はい。Day3のみなさんは座ってー。それ以外は控え室に。」





黄色掛かったオレンジ色の袴姿で
マイクを握る
森ちゃんの声がホール内に響いた。






「なんやろ?」





「さぁ。」




赤崎くんは
それだけ告げると壇上を見上げる




湖南くんは意味深な顔をしてるけど





「今日はスペシャルな方を呼んでます!」




…えっ誰?




あたしの頭には
いろんな人の顔が浮かぶ



…1.2年生の時の担任?

…異動で転勤された家庭科の先生?






「この方です!どうぞっ!!」





森ちゃんの声で
壇上にあらわれたのは…





「…ひなった…?」



そこには1年前と同じように
スーツをビシッと着こなした
日向の姿が見えた




胸元には
あたしたちと同じ
”祝 卒業”と書かれた
ブローチがつけられている




周りからの温かい拍手が
ホールに響いていた。







「えっ…うそぉ…」



本番はこれからというのに
涙はこぼれ落ちて行く。




みんなは知っていたかのように
誰一人驚いていなかった



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