ひまわりの約束




「…日向?」



壇上に上がると
日向の表情がよく見える




6年半前のあの日と同じ
紅らめた頬




日向は
照れ臭そうに軽く下を向いていた。





「…葵?心配かけてごめんな?


手紙。読んだんだろ?」





あたしは静かに首を縦に振った。





手紙はあたしの宝物にしてるから
読んだことも日向には伏せていた。



だって初めてもらった手紙だから…



あたしの心にしまっておきたかった。


多分日向も恥ずかしいかなって思って



学校でも日向が居ない日々はさみしくて
手紙はずっと持ち歩いてたし
テラスで1人読んだりしてた…


でもなんで…




あたしは席に座る
赤崎くんたちをチラッと見た。




バラしたのは
あの2人だ。




だってニコッて
笑って
そっぽ向いたんやもん。







「俺は約束通り



闘いに勝って帰ってきたよ。



そして今日。
一緒に卒業できる。


俺の願い


1つ


夢が叶ったよ。」





「…本当に…日向…ッ…」





試験は?…どうしたの!?



あたしの頭の中に浮かんだ疑問



それ…受けたってこと…?





「試験なら病室で特別に受けたよ。


もちろん合格。


だから。卒業資格は取れたの。」



あたしの疑問を察したかのように
答えた日向。




「…うそぉ…」



驚きを隠せないあたし


だって、こんなに元気になってることも
あたしは知らなかったから…


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