ひまわりの約束





「手紙で気持ちは伝えたけどさ。


ちゃんと俺の口から伝えないとな?」




「えっ…」






奥の舞台袖から大きな花束が
日向の手に渡った。




「葵。生涯愛する君へ。

俺からの感謝の気持ち。


そしてこれからも…


一緒に幸せになるって
誓いの証


受け取ってくれない?」




「えっ…これは…」





プロポーズ?

付き合っての告白通り越して!!??




「…葵。

俺たちはもう
付き合ってんじゃん。


…さくらと浮気したのは
悪いけど




俺は
ずーっと繋がってたんだって
思ってる


あの日から
いやもっと前から


だろ?」




…もう付き合ってる…?



…はっ…



…あの時



荒木屋に寄って帰る途中



『なぁあーちゃん。』


『ん?なぁに?』


『俺たち。付き合ってるんだよな?』


『大好きだってわかったけん…

ちゅーしちゃったし…

そぉなる?』


『やった!!ならあーちゃんは俺の彼女だね。』


…あの時の日向は
無邪気で
キラキラした笑顔で

ものすごく嬉しそうだった。




あたしも同じくらい
笑顔で嬉しい気持ちでいっぱいだった。



あの時にあたしたちは…




遠回り…したけど







「…はいっ…」





あたしは涙を堪えながら
日向に差し出された
花束を静かに受け取った。


…日向の
素直でまっすぐな想いに

応えたいんだ。



…この時を待っていたから






「…葵…。ありがとうっ…」




日向の瞳には
壇上のスポットライトに照らされて
キラキラと光るものが見えた。





「…あたしは日向とずっと一緒に居れるって信じてたんよ…っ?」




ずーっと信じてた。



日向に恋心を抱いた
幼いあの頃から




たとえ離れても
また一緒に居れる日が来る…って。



ーーーパチパチパチっ



周りからは
温かい拍手がわき起こる。



森ちゃんも
ハンカチで目頭をおさえていて…





あたしたちは
みんなに祝福されてるんだね?



幸せにならなきゃいけないよね?



「日向。愛してる」


「葵。俺もだよ。」




日向は
あたしの頬っぺたに
愛のキスを落とした。




「もう離さねぇからな。」




「もちろん。

ずーっと日向だけを

見つめているから…」




ホール内は
明るいピンクの花が
咲き誇ったように


幸せのオーラが
包み込んでいたんだ。




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