ひまわりの約束
ーーパンッ
ドアが開くと
あたしは急いで降りた。
やっと地元に近づいたって感じになる
ちょっと古びた駅だけど
中枢を担ってるせいか
この辺りじゃ
一番乗り降りが激しい駅で
あたしは
その波に揉まれながら
階段を下りて2番ホームに向かった
「あっ。葵ー!!」
「美香ぁーっ!」
あたしはベンチに座る
美香の元に駆け寄った。
「おひさぁ。葵」
「おひさぁ。美香。
珍しいやん。この時間とか。」
「まぁ今日は始業式で
明日からは補習あるんやけどね。
あっ。そうそう。
葵。覚えてるかなぁ?
日向のことなんやけど…」
ドキッー
今一番聞きたくなかった名前…
忘れたはずの
日向の残像が
脳裏に蘇る
「…ん?
日向が…
どうかしたん?」
「それがさぁ。
帰ってきてるらしいんよ。
こっちに。」
えっ…
こっちってあたしたちが
住んでる街のことよね?
ド田舎に帰ってきたの!?
「えっ…それマジで?」
あたしは動揺を隠せない
「まぁ来夢から聞いたけん。
本当かわからんけどね。」
「そっかぁ…」
あたしは
その言葉を返すので
精一杯だった
学校以外でも
会う可能性がある
それが
なぜか苦痛で
仕方なかった…
あんなに
大好きだった
はずなんに…
プシュー………
タイミングよく
電車がホームに止まる
「あっ。電車きた。乗ろっ!」
「あっ…うん。」
あたしは美香に続いて
電車に乗り込んだ。