ひまわりの約束



「おっ海人くん!ドリブルうまっ!」


湖南くんのドリブルで
日向たちが前線に走っていく。



そして湖南くんは
日向にパスして…



「日向っ!シュートいけっ!」


湖南くんの声が聞こえると
日向は右足を振り抜いて
ゴール左隅にボールをねじ込んだ。



「…っすごー。」


あたしと真奈は
男子のプレーにくぎつけだった。


サッカー部がいるってこともあって
コートのサイズが違うだけで
試合自体は
本格的


みんなのプレーも
かなりレベルが高いし

「日向くん。ゴール決めたねっ!」


「うん。あんなサッカーが得意なんて、知らんやったけど。」


あの頃は
サッカーなんて
ただのボール蹴りだったし

いつからあんな…



しかも颯爽とドリブルで相手をかわす日向は、かっこよかった。


あの頃よりも…



「あっ、日向くんが笑ってるっ!」


「…ほんとだ。」


海人くんが決めた後
ハイタッチして
ニッコリ笑ってる


普段の教室じゃ
なかなか笑ってないのに



あの笑顔

いつぶりかな?



やっぱり
変わってない。

あの笑顔だけは…





「…葵?」



「…っ!うん。大丈夫。応援続けよっ!」




あたしは何もなかったように
装って



メガホンで声援を送り続けた。




…日向?


笑顔、変わってないやん。


サッカー
楽しんでる君は


爽やかだし

普段の冷たい表情は
消えていたね。



ねぇ、何があったの?


なんであたしを
避けたいの?


なんであたしのこと


嫌いになっちゃったのかな…?




あたしにも
あの笑顔

見せてくれないかな…



あたしはそんな思いを抱いたまま

試合を見つめた。

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