ひまわりの約束
「んでよ。日向はどーすんだよ。」
「はぁ?」
「葵ちゃん。」
「あの子やろ?
中学の時に言ってた初恋相手。
んでお前が好きな子は。」
「…」
「まぁ、俺たちは
見守るしかできねぇけどさ。
本当の話
した方がいいんじゃねぇの?」
「海人も彼女できたんだし
あとはお前と俺だけだからな。」
そうか。後のメンバーは
彼女持ち。
意外とうちのクラスメイトは
モテる奴らばっかりだからな。
「あいつには関係ねぇからさ。今のまま、穏便に卒業できりゃそれで。」
「はぁ。俺は彼女欲しいわ。」
煌月がベンチの背もたれに
寄りかかって
天を仰いだ
「まぁ焦ったってできるもんじゃねぇだろ?」
「夏までには作りたいわ。」
「休みだから、一緒過ごせる時間増えるしな。」
俺も煌月と同じように
背もたれに寄りかかった。
…彼女かぁ。
引っ越してきて
中3で1人できて以来いない。
あの時はまだ
あいつが忘れられなかったんだよな。
たしか。
もう変わっていかなきゃ
先には進めないって思って
あいつとの思い出は
しまいこんだつもりだった
けどどうしてか
あいつの面影を重ねてしまう自分が
嫌で嫌で仕方なかった。
相手の幸せを思えば
相手からの告白をOKするなんて
そんなこと
できなかっただろうけど
15の俺にそんな考え
なかったんだよな。
キーンコーンカーンコーン
「おっチャイム鳴ったやん。やばっ!」
「森ちゃんにキレられる!」
「おい。待てよ。煌月、海人!」
俺たちは慌てて教室に戻った。