ひまわりの約束

淡い記憶





「ちょっ!日向?」


あたしの言葉は無視で
先を歩く





いつもの帰り道




あたしと日向は同じマンション
遊んだ後は一緒に帰るのが
定番になっている





でもなんだか周りの景色が
いつもと違うような…





「わっ!」



急に止まった日向に
前をよく見てなかったあたしは
勢いよくぶつかってしまった


「ぶつかっちゃった…ごめん。日向。」




「ん?…あーちゃん?ほら前見ろよ。」



あたしは日向の指差す方を見る



「わぁぁー。綺麗なひまわり!!」



一面に広がるひまわり畑



近くにこんな場所あったんだ…



知らなかったよ。


「ここな?俺が好きな場所。


…ほら行くぞ。」




「ふぇっ?」



日向はまたあたしの手を握って
ひまわり畑の隣の草むらに
足を踏み入れた



「えっ?ちょっ!入ってっ…!」



大丈夫なん?


ここ人の土地じゃ…


でも手を離せる力は無く…



ーーザワッ…ザワッ


足元に生えた短い背丈の草が
足を踏み入れるたびに
音を発する





日向は
奥に見えるベンチで止まった。
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