ひまわりの約束


「日向ばかり見んなよ。」


そうボソッと聞こえたような…


「えっ?」




「…なぁ。俺、葵ちゃんが好きだ。」



「えっ…」



時が止まったように感じたんだ。


あまりに突然の告白で…



「今言うつもりはなかったけど

日向を見つめる悲しげな葵ちゃん見てたら…



俺だけを見て欲しい。
日向じゃなくて。

俺が葵ちゃんを笑顔にさせたい。



だから。」


「…」

急な告白にあたしは戸惑いを隠せない


言葉すら出てこないんだ。



「葵ちゃんが好きなのは
日向だってわかってる。

でも、葵ちゃんが日向を見る時
悲しそうにしてるよな?

今にも泣き出しそうな顔。


俺、そんな葵ちゃん見てらんねぇんだ。


葵ちゃんには笑顔で居て欲しい。

俺に少しでも気があるなら
付き合って欲しい


日向を忘れられるくらい
葵ちゃんを支えたいから。


一緒に思い出つくりてぇんだ。」




「…赤崎くん…」



言葉一つ一つに
重みを感じる


真剣な眼差しは
あたしの瞳にも
確かに伝わってきた。



赤崎くんが
本気であたしに思いを告げてるんだって
すぐにわかったんだ。




「…葵ちゃんが、、、大好きなんだよ。」



「…あたしっ」



「今すぐ返事はいらん。
9月の前期修了日までに
答えてくれたらそれでいい。

ゆっくり考えて?」





階段を降りてきた赤崎くんは
優しくあたしの頭を撫でながら
にっこり笑顔を見せてくれた。





…赤崎くんは
どんな思いであたしに気持ちを告げてきたんだろう


どれだけの勇気を振り絞って
伝えてくれたんだろう



多分あたしには計り知れないんだ。






「わかった。…とっとりあえず。教室…戻ろっか。」






あたしは思い切り作り笑顔を見せると、階段を駆け上がった。







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