ひまわりの約束





「…ふぅ。」

あたしは舞台袖のパイプ椅子に座ると緊張から若干解放されて力ない息が漏れた。




「はぁい。皆さん。このままか着替えて、席に戻ってください!」


ステージ係の先生の声が聞こえる


あたしはパイプ椅子に置いていたTシャツだけを着ると席に戻るためにホールに通じる通路に出た。



「葵さん。歓声やばかったー。」


「マジ。あれはやばかった。」


「うちら勝ち目ある?」


なんて会話が遠く後ろから聞こえた。




それはわからないよ。



今年のみんなが
誰に投票するかなんて
あたしには計り知れないし


歓声がそのまま票になるわけじゃないから。



「おかえりー。葵。」


「おつー!葵ー!」




席に着くと
真奈と希衣ちゃんが
笑顔で手を振ってくれた。



「ありがとう!」


あたしも小声で小さく手を振った。





「…ふぅ。この次は」


おもむろにプログラムを開く

この後のスケジュールは

男装女装コンテスト
一発芸大会
大抽選大会
協賛企業紹介
ムービースライドショー
各種コンテスト優勝者発表
1部模擬店のランキング発表
エンドロール



…かぁ。



ちょうど企業紹介あたりで
あたしはお着替えタイム。


2連覇だから
優勝しようがしまいが
ランウェイ歩けって
森ちゃんのはからいでね




それまであと45分

あたしはゆっくり席で
日向と凪紗の進行を聞きながら
最後の文化祭を楽しむことにした。




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