ひまわりの約束
「…戻りたくても。
…戻れねぇんだよ。」
「そんなことねぇだろ?
…時間は戻せねぇけど
関係なら戻せっ…」
「…無理だ。
俺は黙って引っ越したことで
葵を傷つけた。
そして罰がコレだ」
「だからって…あーちゃんに。
伝えなくていいのかよ。
お前の気持ち。
あの日のこと。
お前の過去
病気の話。
俺に話してくれたように。
どれだけ内容があーちゃんにとって
聞くに酷なものだったとしても
あーちゃんは
しっかり受け止めるはずだから!!」
「…伝えても受け止めてくれても
戻れるわけじゃねぇよ。」
「…仲良くしたいんじゃねぇのかよ。」
「…っ」
「…あーちゃんに会いたくて。
あーちゃんに謝りたくて。
あーちゃんに伝えたくて。
支えて欲しくて
こっちに帰ってきたんじゃねぇのかよ。
」
「…俺はっ」
「…表向きでは、自然豊かな地元でゆっくり過ごすことが理由かもしれん。でも俺から見たら、そうとしか思えねぇんだよ。」
「…」
あまりに
見透かされた言葉に
言い返す言葉が見つからない
…そうだ。
でもあわよくば的な感じ。
言えたらいいな的な
淡い願いだった。
けど再会して
同じクラスになって
近い存在になった途端
葵が楽しそうに過ごしてるところを
壊したくないって
俺のことで葵を困らせたくないって…
そして
俺の中で葵の存在が
デカくなるたんび
大切なものになりかけるたびに
俺は冷静を保つように
心を落ち着かせた。
もう失いたくない。
それに
1年何事もなければ
また離れる
ただ葵の笑顔が見れたら
それでいいって思ったんだ。
煌月と付き合えば
葵は幸せになれるかもしれんのやから
俺は陰から…
見守るだけで
…十分だよ。