ひまわりの約束


「なぁ。お前、今週半ばには退院すんだろ?…ならさ。」





そう言ってバッグから取り出した
1枚の紙


懐かしい見慣れたポスター




「…これは。」



「今年の夏祭り。あーちゃん誘いなよ。」


ニコッと笑ってピースサインをつくる来夢



「…でも。」



「そこで伝えてみたらよかやん。花火見ながらさ。」



「…」


「…あーちゃんがどんな反応するか、わからんけど。せっかく再会したんやし。伝えんでまた離れたら後悔するっちゃない?」



「…後悔…か。」


…後悔だけは
したくねぇけどな。


やっぱ伝えるべきかな。



「…あとはお前次第。
今週末やけん。早く誘わんとな?

んじゃあ俺は
美香とデートの約束あっけん。」



「…あぁ。わかった。気をつけてな?」



バイバイと手を振ると
来夢は足早に病室を後にした





シーンと静まり返った個室で
俺はベッドに横になる



来夢からもらったポスター片手に



「…はぁ。」


葵を誘えって言われてもな…


何て誘ったらいいんだか…



6年前までは
毎年のように行ってた
夏のイベント



あの時は行くのが当たり前

やけん
ここまで悩むこともなかった。


けど…


今は違う



「…はぁ。」



でも来夢が言うように
これがチャンスかもしれん。



俺が元気なうちに
伝えないと…



…後悔するかもしれんよな。



俺は棚から
携帯を取ると
葵にメッセージを送った。




”今週末の夏祭りの花火大会

6年ぶりに一緒行かん?


もしいいなら
あの思い出の場所で
待ってるから…”




…………と





〜日向side end〜




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