Je te aime ~愛しき人よ永遠に~

先輩は近くに居た男の子に声をかけた。
『今田君。悪いけど、この子連れてごみ捨て教えてくれる?』

すると、男の子は片付けの手を止めて答えた。
『はーい。じゃあ、行こっか。』

私は近くにあった大きなごみ袋を両手に持った。
男の子も両手にごみ袋を持って先に進んだ。

私は少し離れて後ろから付いていった。
男の子は背丈が170㎝位で、中肉中背と言う感じ。

すると突然振り向いて声をかけられた。

『名前なんだっけ?』


私は慌てて答えた。
『伊崎 文華です。』

男の子はニッコリ笑って言った。
『そかそか。文ちゃんね。俺は今田 徹也。宜しくね。』


私も笑顔につられてニッコリ笑って頷いた。


私達はごみ捨てを終えて店に戻った。
するとみんな整列していた。
私達もその列の端に並んだ。すると加藤先輩が列の向かいに歩み立ち話始めた。

『今日は店長がお休みなのでサブの私が閉店挨拶をします。
今日からバイトに入った、伊崎さんです。改めてみんなに一言宜しく。』


私は急に紹介を振られて慌てて言った。

『伊崎です。宜しくお願いします。』
そしてペコリとお辞儀をした。すると他のバイトの人達が拍手をしてくれた。


ミーティングを終えて、加藤先輩と更衣室に向かった。
素早く着替えて、通用口から出ていくと、さっきの男の子が椅子に座って煙草を吸っていた。

私を見つけて席の隣をポンポンと軽く叩いて隣に座るように促した。
私はちょこんと座ると、男の子が私に煙草を差し出した。
私はスッと1本抜き取ると口にくわえた。
するとZippoに火をつけてくれた。


男の子は笑いながら言った。
『オッ!吸い慣れてるね~。』

私は少し照れながら煙を吐いた。
そして、ありがとうございますと言って名前を何て呼ぼうかと戸惑っていると、それを分かったらしく自分から言ってくれた。

『俺の事は【今ちゃん】て呼んでよ。みんなそう言ってっから。』

私は『はい。』と答えた。



すると、バイトの人達がゾロゾロと出てきた。
物凄く背の高い男の人が出てきた。
名前は元木 友也(もとき ともや)そのすぐ後ろを小柄で美人の女性が出てきた。
名前は佐々木 春海(ささき はるみ)この二人は付き合っているらしい。


もう一人痩せた背の高い男の人が出てきた。
岸本 泰(きしもと やすし)


そして、加藤先輩が出てきた。
すると、一番背の高い元木さんが先頭を切って駐輪所にゾロゾロと向かった。


その間、今ちゃんが私に話しかけてきた。
『初日で疲れたでしょ?でも、仕事終えて出てきたときの一服とこの後の時間がたまんなくおもろいんだ。きっと文ちゃんもそうなるよ。』

そう言って笑った。よく笑う人だ。


駐輪所の一角にバイクが並んでる!
私の眼は輝いた!
その顔をつかさず見た今ちゃんが嬉しそうに聞いてきた。

『なになに♪バイク好きなの?』


私はワントーン上ずった声で返事をした。
『はい!もしかして、ここに置いてあるバイクは皆さんのバイクなんですか?』


今ちゃんはポケットからバイクのキーを取り出しながら答えた。
『そそっ。俺達ここにバイク停めてんの。』


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