Je te aime ~愛しき人よ永遠に~
風が気持ちいい。文の背中はとても安心できた。カーブを曲がる時ステップを擦るぐらいバイクを倒しても私は何も恐れなく身を任せた。
嗚呼、バイクって良い。凄く良い。
私は完全に文のバイクの虜になった。
一周して今ちゃんが待っている所まで戻ると、今ちゃんが驚いて私に言った。
『あや。お前バイク乗るんじゃん。』
私は文のバイクから降りながら答えた。
『アニキのバイクには乗る気しないけど、文のバイクなら乗れる~。』
今ちゃんは私の頭を小突きながら文に言った。
『だってよ。コイツタンデムするの見たの初めてだよ。誰のバイクの後ろにも乗らなかったんだぜ。』
それを聞いた文はからかうような笑顔で今ちゃんに言った。
『俺は誰かさんと違って、安全第一だからな。』
私達は笑ってた。
この日の事は生涯私の心に深く刻まれた記憶の一つになった。
私達の物語の始まりだった。
そして、文と私の運命を始まりだった。