Je te aime ～愛しき人よ永遠に～

私、ナーちゃん、今ちゃん、文の４人で連るむ事が当たり前になって言った。


元木さん達はもう私達と距離を置いてしまった。
でも、私はナーちゃんが盗みをする所を見ていなかった。


そんなある日、今ちゃんが明るく私達に言った。
『今度、オレのダチがここの面接するから、宜しくな。』


『へぇー。女の子？』私がニヤニヤしながら聞いた。
勿論答えは分かっていたからの笑いだ。
その顔を見た今ちゃんが軽く私の頭を小突いて答えた。
『悪かったな。野郎だよ。』


文とナーちゃんはあまり感心無さそうに私達のやり取りを聞いていた。



帰る時間が迫った時、文がナーちゃんに言った。
『今日はメット無いから後ろに乗せれないから送れないよ。』

するとナーちゃんは直ぐに答えた。
『メットならあるよ。ちょっと待ってて。』そう言うと私の手を取りバイクや自転車が沢山止っている場所に来ると、ナーちゃんは突然手頃なバイクに近付きバイクに留めてあったメットのヒモを持っていたカッターで切った。


私は驚いて声も出なかった。元木さんが言っていた事はこの事だった！


ナーちゃんは私に向かって人差し指を口に当てて『シーッ』とやって何食わぬ顔をした。
そして、再び私の手を引き今ちゃん達が居る場所に戻ってきた。
私の顔を文は見逃さなかった。そして、ナーちゃんの手に持っているメットにも視線を移し、事態を把握したらしい。


文はバイクを止めて、ナーちゃんの腕を掴んで私と今ちゃんから遠ざける様に離れた。

私は今ちゃんの顔を見た。不安が広がる私の気持ちを今ちゃんは察して溜息混じりに私に話始めた。

『文。大丈夫だよ。文は初めてかも知れないけど、実はしょっちゅうあったんだよ、こういう事。
文には見せたくなかったけどな。』


私は２人が消えたビルの隙間に視線を向けながらその話を聞いていたら、後から頭を優しく撫でて今ちゃんが言った。

『アイツらは大丈夫だから、お前はもう帰った方が良い。文はお前には見せたくないんだよ。それにナーも喧嘩した後を見られたくないだろうから。』


私は振り返って今ちゃんを見た。
今ちゃんは私の顔を少し心配そうに見て口の端を上げて優しく言った。

『２人のことは俺に任せとけ。それよか、今度入る俺のダチの事宜しくな。』


今ちゃんは話を逸らして私の気が２人に向かないようにした。
私はその話に敢えて乗った。

『了解。じゃあ。後は宜しくね。バイバイ。』


そう言って私は自分の自転車を家路に走らせた。
今ちゃんは私が角を曲がるまで私の事を見送ってくれた。


家の近く迄帰ってきたけれど、真っ直ぐに家の中に入りたくなくて、歩道橋に立って、車のライトの走る川の流れを見つめていた。