Je te aime ~愛しき人よ永遠に~
アテイ君と溜り場
『いるっしゃいませ~!』威勢のいい声が響き渡る。
今ちゃんの紹介で入った石川 淳(いしかわ じゅん)の声だ。
普段は自分の事を『アテイ』と言うので、アテイ君とあだ名が付いている。

明るく社交的で天真爛漫な男の子だ。
背は高く185cmで元木先輩とあまり変わらないし、肩幅も広く見事な逆三角形が服の上からでも分かる。

バイクはYAMAHAのFZ400を乗りこなしている。
レーサーになりたいらしい。
高校には行っていない。

誰とでも直ぐに打ち解けられる天性の明るさがあるので友達は多そうだ。


私と文はマイペースで仕事をこなしていた。
そして、ナーちゃんは一悶着起きたあの日から暫く来なかったが、最近またココに来るようになっていた。


アテイ君はナーちゃんとも難無く挨拶を終えていた。


今ちゃんに連れられて文もアテイ君の家に行く事が多くなった。そして、文と一緒に居たいナーちゃんもアテイ君の家に出入りする様になっていった。


そんな中私だけはまだアテイ君の家に行ったことは無かった。

不意にアテイ君が言った。
『ねぇねぇ。文ちゃん。今度家に遊びにおいでよ!みんな居るし、家鍵かけて無いから何時でも出入りOKだから!』


私は目をパチクリさせて答えた。
『ありがとう。うん。今度行くね。でも、何処だか分かんないんだけど。』


アテイ君はガハハと笑いながら答えた。
『心配無いよ!駅に着いたら電話して!迎えに行くから!』


こうして私は初めて男の人の家に行く事になった。



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